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2F企画展示室
【概要】
海を渡った画家たちの初期のコレクションは主としてヨーロッパで活躍した作家で形成されました。
その先駆者といえば藤田嗣治をおいて語ることは不可能でしょう。はたして1920年代のフランス画壇において彼ほど輝かしい評価を獲得した日本人画家が存在したでしょうか。
私共のコレクションは先ずフジタに注目することからスタートしました。そしてフジタの交流を紐解く過程が同時代にフランスで活動する様々な日本人作家はもとより、国内で前衛の活動をした「具体」の作家のもとへとコレクションを導き、当館の作品の収集に繋がっていったのです。第二次大戦後の1950年代、多くの日本人作家が渡航、アンフォルメルに身を投じた堂本尚郎、今井俊満をはじめ、「エコール・ド・パリのスーパースター」と呼ばれた菅井汲や、佐藤敬、鬼頭曄 らが綺羅星のごとく活躍したとき、遠くブラジルの地では間部学がコーヒー農園で働く傍ら画業に励み、遂に「ブラジルのピカソ」と呼ばれるまでに評価を高めていました。
長谷川潔もまた、当時フランスで失われたマニエール・ノワールの技法を復活させ、その作品の静謐な中に秘める精神性で高く評価され今日に至っています。同時期に世界のあちらこちらで多数の日本人作家が才能を花開かせたことは正に奇跡のように思われます。
『これらの作家の足跡を追う』、これをコンセプトに初期のコレクションは形成されていきました。改めて彼らの画業をご高覧くださいませ。
●出展作家
今井俊満、鬼頭曄、佐藤敬、菅井汲、堂本尚郎、長谷川潔、藤田嗣治、間部学(五十音順) -